法が裁かない悪を討つ。痛快な復讐代行劇としてアジア全土で社会現象を巻き起こした『模範タクシー』が、待望のシーズン3として帰ってきました。2025年11月、さらにスケールアップした「ムジゲ(虹)運輸」のダークヒーローたちが、ソウルの裏社会のみならず、国境を越えた巨大な悪に立ち向かいます。表向きは平凡なタクシー会社、しかし裏では被害者の無念を晴らすために動く彼らの物語は、現代社会の理不尽さに疲れた人々に強烈なカタルシスを提供します。今シーズンでは、日本やベトナムといった海外ロケーションを敢行し、シリーズ最大級のアクションとサスペンスが展開されます。 物語の中心となるのは、無敵のタクシードライバー、キム・ドギ(イ・ジェフン)。元特殊部隊将校という経歴を持ち、冷静沈着な判断力と圧倒的な戦闘能力で悪党たちを制圧します。彼を支えるのは、ムジゲ運輸の代表であり精神的支柱であるチャン・ソンチョル(キム・ウィソン)、天才ハッカーのアン・ゴウン(ピョ・イェジン)、そしてコミカルながらも頼りになるエンジニアコンビのチェ・ギョング(チャン・ヒョクジン)とパク・ジノン(ペ・ユラム)です。シーズン3では、彼らのチームワークがこれまで以上に試される事件が次々と発生。特に、日本のヤクザ組織と結託した金融犯罪シンジケート「ネコ・マネー」との対決は、物語に新たな緊張感をもたらします。日本の俳優・笠松将が演じる冷酷なヴィラン、マツダ・ケイタの登場は、キム・ドギにとってかつてない脅威となります。 本シリーズの魅力は、単なる勧善懲悪のアクションにとどまらない点にあります。実際に韓国で起きた凶悪犯罪や社会問題をモチーフにしたエピソードは、視聴者に「正義とは何か」を問いかけます。高齢者を狙った詐欺、人身売買、芸能界の闇など、法網を潜り抜ける卑劣な犯罪者たちに対し、キム・ドギが独自の「目には目を、歯には歯を」のルールで鉄槌を下す姿は、見る者の胸をすくような爽快感を与えます。同時に、被害者の苦しみに寄り添うヒューマニズムの要素が、ドラマに深みを与えています。 映像面でも進化を遂げたシーズン3は、映画並みのカーチェイスとスタントアクションで視聴者を圧倒します。ソウルの煌びやかな夜景と、その影に潜む暗黒街のコントラストが見事に描かれており、ロケ地巡り(聖地巡礼)を楽しむファンにとっても魅力的な作品となっています。正義の代行者たちが繰り広げる、スリルと感動が交差する疾走感あふれるドラマ。タクシーメーターが動き出した瞬間、あなたの心拍数も急上昇すること間違いありません。
現代社会における「資本」と「力」の関係を痛烈かつコミカルに描いたNetflixオリジナルシリーズ『キャシャロ』は、これまでのヒーロー物の常識を覆す韓国ドラマの野心作です。2025年12月に公開された本作は、手にした現金の額に応じて超人的な身体能力を発揮できるという奇想天外な能力を手に入れた平凡な公務員の物語を描きます。「地獄の沙汰も金次第」という言葉を文字通り体現したかのようなこの能力ですが、力を使えば使うほど所持金が消えていくという致命的な代償が伴います。この「課金型ヒーロー」という設定は、単なるSFファンタジーの枠を超え、経済的なプレッシャーに喘ぐ現代人の悲哀と生存競争を鋭く風刺しています。 主人公のカン・サンウン(イ・ジュノ演)は、親を亡くし、妹のサンアンを養いながら住民センターで働く真面目な青年です。マイホームと結婚というささやかな夢を追いかける彼でしたが、ある日父親からわずか1万ウォンで能力を継承させられ、彼の日常は一変します。正義感から人助けをするたびに貯金が底をつき、生活が困窮していくというアイロニー。妹のアルバイト代まで現金化して戦うサンウンの姿は、涙ぐましくも笑いを誘います。そんな彼を支えるのは、現実的な妹と、しっかり者の恋人ミンスク(キム・ヘジュン演)。彼らの家族愛と絆は、物質主義的な世界観の中で温かい人間ドラマとして輝きを放ちます。 物語は、サンウン以外にも個性豊かな能力者たちが集結することでさらに深みを増します。かつてキャシャロとして活躍した餅屋の老婆ミソンや、特異な条件で力を発揮する仲間たちがチームを結成し、富と権力を独占する悪の組織「犯人会(ポミンフェ)」に立ち向かいます。持たざる者たちが、全てを持つ者たちへ挑むという構図は、格差社会に対する強烈なアンチテーゼとなっています。また、ソウルの住民センターや漢江(ハンガン)の河川敷、古びた路地裏など、生活感あふれるロケーションで繰り広げられるアクションシーンは、リアリティと親近感を演出し、視聴者を作品の世界へと引き込みます。 イ・チャンミン監督の洗練された演出と、イ・ジュノをはじめとする実力派キャストの熱演が光る『キャシャロ』は、単なるエンターテインメントにとどまりません。アクションの爽快感とコメディの軽快さを保ちつつ、「本当の豊かさとは何か」「正義に値段はつけられるのか」という普遍的な問いを投げかけます。お金に翻弄されながらも大切なものを守ろうとする庶民派ヒーローの奮闘記は、日々の生活に疲れた現代人の心に、勇気と希望、そして笑いを届けてくれる必見のシリーズです。